GoogleのMotorola買収でAndroidの改良は急加速へ
今朝(米国時間8/15)発表されたGoogleの$12.5B(125億ドル)での Motorola Mobilityの買収によって、Googleはきわめて多くのものを得ることになる。まず2万人の社員(Google本体の社員数に匹敵する)、そして恐怖を覚えるほど巨大な24000件の特許(ちなみに、Motorolaは携帯電話そのものの特許を持っている)だ。
しかしもうひとつ、今回の買収でGoogleが得たAndroid産業全体の構図を変えるような重要な資産がある。アメリカにおける30%弱の市場シェアだ。
Android携帯のハードウェアのシェアに関する限り、Googleは何年もほとんどゼロのままだった(「Google携帯」と呼ばれるNexusシリーズにしたところでHTCとSamsung製だ)。それが突如GoogleはAndroidのハードウェア製造で2位に躍り出た。
29%というGoogorolaのシェアはトップのHTC (35%) に続き、3位のSamsung (25%)を上回る。この数字はモバイル市場調査会社のLocalyticsが今朝発表したばかりのものだ。
考えられるいくつかの影響:
- Android OSのアップデートが早くなる! Google傘下に入ったことによって、Motorolaに対するAndroid携帯のOSアップデート実施の圧力が高まる。MotorolaのOSアップデートが早まれば、それが今度は他のメーカーへの圧力となる。Motorolaが現在のシェアを維持し、GoogleがOSアップデートのネジを巻く(そうあるべきだが)続けるなら、消費者の手に渡るAndroid携帯の30%が常に最新のOSを搭載することになる。他のメーカーもこれにならってできるだけ早く、できるだけ頻繁にOSのアップデートを図らなければならなくなるだろう。でないとアップデートの遅いメーカーとして知られることになってしまう。
- カスタム・スキンは消える? これまでGoogleが開発に直接関わったAndroid携帯はすべて「純粋なGoogle体験」をキャッチフレーズにしていた。つまり、ストレートなAndroid OSであって、機能の追加や置き換えによってメーカーごとにカスタマイズされたものではないという意味だ。これに対して、HTCのAndroidにはSense、Sony EricssonならUXP、SamsungはTouchWizというカスタム・スキンが搭載されている。MotorolaもMotoblurというスキンを持っていた。
しかし最近、MotorolaはMotoblurの開発を中止すると発表した。これでその理由が分かった。Googleは自社の携帯にカスタマイズが施されることを望まなかったのだ―それではまるでAndroid OSに何か欠けているところがあるように見えてしまう。MotoはまだBLURを搭載した製品を数機種販売しているが、今後リリースされるモデルは「バニラ」なAndroidになるだろう。
他のメーカーがこれにどう反応するか注目だ。消費者の予期に応えて彼らもバニラAndroidに戻るだろうか? それとも差別化のためにスキン開発の努力を続けるだろうか?
- GoogleはAndroidの標準的ハードウェア仕様を提示することで分断化を抑圧できる 往々にして誇張して報じられがちだが、Androidには、事実、分断化問題がある。中でも、開発やテストの見地から非常に厄介なのは、おそろしくたくさんんの画面解像度があることだ。そこでGoogorolaが「諸君、われわれは向こう1年かそこらは800×480のディスプレイしか使わないつもりだ」と宣言すれば話はよほど簡単になるのではないか? もちろん他のメーカーはそれに従う義務はない。しかし従った方がなにかと都合がよいことになるかもしれない。
Googleは、ハードウェア製造レースに興味はないと長年言ってきたが、いきなりゼロから時速100kmまで加速して参入してきた(実際はゼロから30%だが、私の言いたいことは分かるだろう?)。ハードメーカーがAndroid携帯を市場に売り込む努力を続けている間、Googleは脇から見物していた―して今やメジャー・プラットフォームになったところで突如ハードウェア市場に参入してきたわけだ。邪悪な動きと呼ぶべきだろうか? 多少は邪悪かもしれない。しかし全体としてみれば天才的だ。30%の市場シェアが維持できれば、Googleはそれをテコに他のメーカーを自分の思う方向に誘導できる。
Androidは今後改良が進むだろう。それも急速にだ。
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(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+)