日本で新たな独立系ベンチャーキャピタル、B Dash Venturesが登場
スタートアップ界隈はシード期の、という枕詞をつければ最近になってシードアクセラレーションのようなものが登場してきて賑わっているのは間違いないのだが、その成長の担い手となるベンチャーキャピタルが盛り上がっているのかといえばそうでもない。が、そういう状況であるにはあるが、今日、新たに独立系のベンチャーキャピタルの立ち上げが発表された。B Dash Ventures(B Dash)は前ngi group投資事業本部長の渡辺洋行氏が立ち上げたベンチャーキャピタルである。1号目となるB Dash Fundでは2012年までに20億円のファンド総額を予定している。
インターネット関連の事業に投資する独立系のベンチャーキャピタルで、最近になって新たにファンドを立ち上げたのはInfinity Venture Partnersだし、それ以前だと新たに立ち上がったベンチャーキャピタルといえばIncubate Fundがある。2007年以降ベンチャーキャピタルは厳しい局面にさらされているが、数少ないがこういったベンチャーキャピタルたちは元気である。
たとえば、Infinity Venture Partners(IVP)は招待制のイベントInfinity Ventures Summitを開催していることでも知られているが、この6月には2号ファンドを立ち上げてすでに4,330万ドル(33億円程度)のファンド額を集めている。ファンドの出資者にはグリー、KDDI、オプト、NHN Japanなどの国内のキャリアやインターネット事業者と海外のベンチャーキャピタルが名を連ねている。そして、1号ファンドではグルーポン・ジャパン(旧社名はクーポッド)への投資やRekooなどの投資、中国のモバイルソーシャルのMoca Worldの投資実績がある。もちろん、こういった経験から2号ファンドの立ち上げもうまく行っているのだとIVP共同代表パートナーの小林雅氏は語っている。
一方、Incubate FundはDeNAが25億円出資したしたことで知られている独立系のベンチャーキャピタルだが、ポケラボやAimingなどの新たなゲーム市場への投資で注目をされている。総額およそ30億円のファンドを現在運営している。彼らはもともと会社の設立からシード投資を手がけることを実践してきたベンチャーキャピタリストが集まっているのが特徴だから、最近はIncubate Campのようなシードアクセラレーションのイベントを実践しているのはごく自然な流れのような気もする。
そしてB Dashであるが、最初の出資者にはNTTインベストメント・パートナーズ、NECビッグローブ、グリー、セプテーニ、三菱UFJ キャピタルといった名前が並ぶ。IVPやIncubate Fundと同じくキャリアのベンチャーファンドやインターネット事業者が出資に参加しているが、昨今の新しいスタートアップの創出にはこういった企業たちも注目しているということなのだろう。KDDIがIVPなのに対し、NTTがB Dashなのは興味深い。さらに、B Dashは新たに森ビルとの協力でインキュベーションのためのスペースを作り、投資先などに開放する。
いずれにせよ、スタートアップを盛り上げるプレイヤーが新たに登場するのは大歓迎である。シードアクセラレーションだけでなく、出口まで支援をする投資家の登場はスタートアップにとってもいい話であることは間違いないだろう。
B Dashは自身が主催するスタートアップ向けの招待制イベントB Dash Campの長野での開催を来週に予定している。スタートアップやインターネット企業のキーパーソンが集まるこのイベントには僕も参加の予定だ。