iPod、10年
2001年10月23日、スティーブ・ジョブズがスペシャルイベントでiPodを披露し、象徴となることを運命づけられたそのデザインを誇示した。10年後、そのブランドは依然として強さを保っているが、われわれは悲しくもその発明者を失ってしまった。
しばし、最初の製品発表ビデオをご覧いただいてから、Appleの歴史上最も重要といえるデバイスの進化の過程をたどってみたい。
私が最も重要だと言うのは、Mac Classic、iMac、そして後にはiPhoneも、同じく誉高いと見る向きもあるだろうが、私はiPodを、流れを変えた瞬間だったと思っているからだ。もし、iPodが失敗していたら、Appleはデザイナーや学校には珍重されても、テクノロジー界全般からは支障なく無視されるブティック・コンピューターメーカーのままでいたかもしれない。その代わりにiPodは、何年もの間音楽の聴き方のデファクトスタンダードとして強力なクサビとなった。実際、いずれスマートフォンなどのより統合されたデバイスにその座を明け渡すまで、まだ何年も続くだろう。その時でさえ、ブランドは持続するだろう
Appleのこのクサビが大衆市場における信用を勝ち取ったことで、売上は大幅に押し上げられ、iTunesは業界全体を破壊することになる市場力を確立した。
iPod自身、年を追って変わってきた。しかし、今日の160GB iPod Classicを見た人なら誰でも、初代機がその先祖であると認識できる。現行モデル(今の形状に近いものは2008年終りから販売されている)は交代時期に来ていると言う人もいる。しかし、すでにそれは何種類ものデバイスによって置き換えられている。Appleは、Classicを一種の公共サービスとして提供していて、おそらくその伝統に対する敬意から、新機種に販売が移行することを避けているのではないだろうか。
つまづきもあった。第3世代iPodのタッチボタンは長続きしなかったし、最初のカラーモデルのちゃちなカラー画面は魅力的とは言い難かった。「fat nano」は、正直、あざけりの的だった。一連のバッテリー問題への対応も不十分だった。しかし、それらの問題はその都度修復され、消費者は「ああ〈やっと〉完全になった」と思った。そして、もちろんそこで登場したのが、iPhoneだった。
10年間は、家電ブランドの持続期間としてはすば抜けて長い。フォームファクターやルック&フィールに関してはなおさらだ。私は、この記事を読んでいるほぼ全員が、いずれかの種類のiPodを所有していたことがあり、おそらくどこかにiPodのメモリーを秘蔵しているに違いないと踏んでいる。私はといえば、2005年のクリスマスに第5世代iPodをもらい、翌日店に行ってホワイトをブラックに代えてもらうまで、駄々をこねたことを覚えている。私にとってはそうではないが、たぶんAppleにとっては誇れる瞬間だろう。
ここに、家電史上最も重要な製品の一つに対する敬意を表する。みなさんの考えや思い出をコメント欄で聞かせていただきたい。
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(翻訳:Nob Takahashi)